投稿日:2021/10/21 23:34, 閲覧 678
スノコの上に多目的空間を作ったので早速天井裏に温湿度計を設置しました。
以前から設置している巣箱外部の温湿度計は巣箱から2m程離して環境温度を計測して巣箱内と外部環境との温湿度データを比較できるようになりました。
・天井裏に磁石で設置した温湿度計
まずは計測1日のデータを取得できたので温湿度計の専用アプリの画面から
10/20-21の温湿度データ履歴を見てみます。
・外部環境
・巣箱内のデータ
温度は巣箱内の方が高い状態を維持しているように見えます、時刻にっては3℃ほど高い時刻もあるようです。
ミツバチの巣箱内の温度については一般論?の36℃程度からはかなり低くなっていました。
理由はわかりませんが、蜂がオシクラマンジュウしている部分はもっと温度が高いと予想すれば天井裏のあたりはこの程度なのかも?と思っておくことにします。
湿度については外部環境は温度の変化と連動する形で大きく変化しています。
(気温が高くなると湿度が下がり、気温が低くなると湿度は上がる)
巣箱内の湿度は外部に比べて変化が小さいようです。
と、ここまで見てみましたが比較しにくいのでデータエクスポートして
データ処理しました。
・温度データ(℃)
比較しやすくなりました。以後、青線は巣箱の外、赤線は巣箱の中です。
横軸一目盛り1時間、縦軸一目盛り1℃にしてあります。
データの開始後数時間は蓋を閉じた直後なので今は無視します。
全体的に外気温よりも内部温度は緩やかに温度変化しているようです。巣箱で断熱されていてミツバチ達が温度変化をなるべく一定に保とうとしていると理解しました。
18時から日の出までは2~3℃巣箱内の温度が高くなっている状態を保っています。
日の出の6時あたりから外気温が上昇し始めますが巣箱内は7-8時くらいから緩やかに温度が上昇し始めるたことが分かります。
このデータの日は10時から昼頃までは巣箱の内外で同じような温度になっていました。
これは、外気温の温度変化が急激だったので応答遅れしているのだと思います。
その後、14-15時あたりで外気温は下がり始めますが、その1時間遅れくらいから内部は温度が下がり始め外気と3℃程度の差で夜を迎えました。
・相対湿度(%)
一般的な湿度計は相対湿度を表しています。この温湿度計の湿度も相対湿度なのでデータのタイトルを相対湿度にしています。
相対湿度のデータを巣箱内/外で並べてみました。
全体として巣箱内の湿度は外気に比べて”安定しているように見えます”。
ただし、相対湿度はその温度での空気中に含むことのできる水分の最大量(飽和水蒸気量)に対する現在の水分量の割合を示しているので温度が変わると空気中に含むことができる水分の量そのものが変わるのであまり直感的ではありません。
そこで、容積絶対湿度というものに換算します。
これは空気中にどれだけの水分が含まれているか?というのを絶対量(グラム)で表します。
同じ相対湿度でも気温が違うと含まれる水分量が変わります。
この水分量を示したものを容積1m3辺りのグラム数で表したものを容積絶対湿度と言います。
例えば、相対湿度50%の場合は
・気温30度では1m3の空気に15g程度の水分
・気温10度では1m3の空気に4.7g程度の水分
が含まれることになり、同じ相対湿度でも含有水分量は3倍異なることになり水分量を直感的に理解できるようになります。
ということで、気温と相対湿度から容積絶対湿度を求めました。
・容積絶対湿度(g/m3)
はい、まず着目したいのは外気の容積絶対湿度が夜間も日中も変化が大きくありませんでした。
これは、外気に含まれる水分量は季節変化はあるものの、1日の中ではそれほど変化しないという定説と合致します。
値そのものについては住居室内の快適性について調べると
「冬場は乾燥しているのでなるべく8g/m3以上になるように加湿しましょう」
とか書いてあるので冬場の外気はもっと小さいと予想できます。
今回のデータは冬前に気温が下がった時なのでそれほど小さい値にはなっていませんが7~8g/m3となっているので晩秋の外気データとしてはある信頼できるデータだと思います。
一方で巣箱内の容積絶対湿度は日中と夜間で大きく変化が生じています。
夜間は10g/m3を下回り、日中は12.5~14g/m3程度まで上昇しています。
これは日中に新しい蜜を集め水分の多い蜜の蒸発が盛んなためだと考えられます。
夜間は蜜の収集が無いため絶対湿度は低下していきますが、それでも外気と比べると高い値で推移しています。
これは夜間も働き蜂によって蜜の濃縮作業を頑張っているのだと思います。
今回巣箱内/外の温湿度データを取得し、初めて内外の温湿度について考察することができました。
現在までの経験則や定説の裏付けになったり冬場の温湿度について更に理解を深めたりするのに役立ちそうです。
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皆さん、長~く難解な記事を読んでいただきありがとうございました。
Birdmanさん
夜間については昼間の多湿状態が残っているのでそれが拡散して下がり続けるだけなのか?とも予想していましたが、明け方まで内外の湿度差は維持されているので蜂が活動しているのはほぼ間違いなさそうですね。
彌助さん
確かに、こういったデータを活用すればより効率的にメントール投与ができるようになりそうですね。
今後は米袋などを巣箱に巻き付けて保温していこうと思うのでその効果を定量的に確認することができればより早期にメントール投与の効果を上げることができるかもしれません。
wild beeさん
こちらこそ読んでいただきありがとうございます。
なるべく理解しやすい言葉を選んでいるつもりですが、
もし分かりづらい点があればコメントいただければありがたいです。
おっとりさん
コメントいただきありがとうございます。
湿度については単位容積辺りの水分の変化として追いかけることで
直感的に蒸発量が分かりやすくなりました。巣箱から拡散する早さなどが分ってこればもっと蜜が濃縮されるプロセスが分ってくるかもしれません。
巣板の温度については計測できれば良いのですが、私の温湿度計は突っ込むことができないのでおっとりさんの計測データを見てやっぱり高温部は存在するんだなーと発見があり知識の補完に役立ちました。ありがとうございます。
まずは冬に向けて保温効果を確認していこうと思います。
こちらは11月から1月くらいは野生化したビワの花が多く山に咲くので蜜枯れの心配はあまりなさそうです。
昨年はこのビワと暖冬おかげで冬に継箱することになりました。
今年はどうなるか見ていきたいと思います。
2021/10/22 12:38
ミツバチ研究所さん
コメント見逃していました。すみません。
遅ればせながらコメント返しさせていただくと。
1.温度計は正確なのか
機器の正確性は価格相応だと思います。安い温湿度計ですから。
それでも校正して日々の温湿度の相対変化は十分分かりましたし、それで趣味として十分楽しむことができたので全く問題ありませんでした。
多点計測もごもっともですが、巣箱の天井裏が思ったよりも保温されていないことが分かりました。
ご指摘のように寒冷期で天井裏にただ置くだけのメントールは全く意味がないですね。これだけ分かれば一つ2200円の無線温湿度データロガーとしての役目としては全く問題ないと感じています。
ちなみにこの日誌を書いた22年度は自分の巣箱はメントール投与しておらずメントールの内容についてはコメント返ししたのみとなっています。
2023/1/14 22:19
おがおがさん とても興味深いデータと考察を、ありがとうございます。ミツバチたちは、夜間は寝ているのか、それとも蜜の濃縮作業などをしているのかと思っていましたが、夜間でも動いている感じはしていますので、やはり蜜の濃縮作業を行っているのですね。ミツバチの巣は、24時間フル稼働ですね。アシナガバチの巣などは、夜間はまったく動きが見られないので、興味深いです。
2021/10/22 00:50
大変有意義なデータありがとうございました。
2021/10/22 09:50
おがおがさん おはよう御座います。
非常に興味深いデータの計測と考察です。
昨年の経験ですが、真冬1月のスノコ上の巣箱内温度は、重箱の4段が巣脾で満たされた状態で10℃を下回る日が続きました。
この時期には、メントールをスノコ上に投与していても、昇華は全く期待出来ないと思われますので、蜂が密集している事と相まって、アカリンダニ症の被害が発生し易くなるのでしょうね。
これらのデータから、巣箱内で20℃を維持出来る場所が、ある程度特定出来れば、メントールの効果も維持出来そうに思いますね。
今後の計測、考察を楽しみにお待ちしてます。
2021/10/22 07:12
1.温度計の正確なのか、
2.温度計測の場所
考え方として、横方向3点、縦方向3点ですが、箱内だけでも2点、育児圏と上部。
ついでに
メントールは効果ないのでは、効果があれば皆さん解決しています。
別な方法を。
2021/10/24 18:00
おがおがさん
根気のいる作業ですね、冬場の温度変化は測定したことがありません。
ご回答にあるように、上部が温度が低くなり、結露誘因の条件となっているようですね、結露を防ぐための対策のヒントになりそうですね。
2023/1/14 22:47
おがおがさん、素晴らしいグラフをありがとうございます。
湿度の点は私は知識が曖昧でしたので、絶対湿度を表示していただき感覚的に分かりやすいです。
巣箱の中で育児をしている時期と育児が下火になってくる時期で違うのは当然かと思います。
また、計測場所が育児部位から離れているので、35℃程の育児温度から低いのも当然ですね。
私は育児部の上の貯蜜部にも注目しています。
蜜は立派な蓄熱剤だと考えます。
育児部で35℃程の温度は当然貯蜜部に影響を及ぼし、35℃に近寄ろうとしていると思います。
ただ、巣板と巣板の間が空間の通路になっているので、巣門からの空気もそこまで入り込み、なかなか35℃にはなり切れないと読んでいます。
蜜が貯蜜材だと考えれば、パッシブソーラーハウスの日中に受ける太陽熱が室内の蓄熱剤(石・水・そのた蓄熱剤)を温め、時間差が起きてくるのは必然だと思います。
楽しいグラフをありがとうございます。
ここからが勝負で、冬の蜜蜂が備蓄燃料の消費と自分らの暖房との折り合いで、越冬できるかどうかの分かれ目ですね。
これからもアップをお願いいたします。
2021/10/22 10:27
おがおがさん
冬に継ぎ箱とはビックラボンです。
2021/10/22 12:43
おがおが
愛知県
2019の秋に待ち箱開始し、 2020年4月にミツバチ達がやってきてくれ養蜂生活がスタートしました。 2021年9月までは横浜から実家の愛知へ往復していました...
おがおが
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彌助
愛知県
愛知県の西部 伊勢湾を望む知多半島の片隅で、ニホンミツバチのお世話をしながら緩やかな生活を楽しんでいます。 此方のサイトにて日々勉強させて頂いている初心者です。...
wild bee
兵庫県
初めは陶芸目的で山へ 、そこで 日本蜜蜂と出会いました 。しかし3群同時消滅という 衝撃的なことが起こり なぜこんな山奥で こんなことが起こるのかと !!そこか...
Birdman
広島県
2020年にたまたま分蜂群を捕獲し、それは友人に譲ったのですが、その感触から急にまた飼いたくなり、2021年からまた本格的に飼育を始めました。
おっとり
千葉県
ワバチが棲みたくなる洞をつくる。
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ミツバチ研究所
熊本県
今更聞けないような事を、初心に帰り相談させていただきたいと思っています。 体と相談しながら無理なく、質の良いミツバチの飼育を目指したい。 2024年春はダニが多...
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