岡山県
長年、医薬品にかかわる仕事をしてきましたが15年程前に退職、今は野菜作りや果樹栽培で汗を流すペーパー薬剤師です。 3年程前に、縁あって瀬戸内海近くの里山の再生を始めましたが、「こんな自然に満ちた環境で、草を刈るだけでは勿体ない」と感じ、日本ミツバチの飼育を思い付きました。昨年(令和5年)は0群/4箱と失敗でしたが、今年は3群/4箱の自然入居があり、無事、養蜂デビューを果たしました。 因みに、このミツバチQ&Aは、私の様な初心者にとって大変勉強になる、貴重な情報源となっています。 余談になりますが、日本ミツバチの疾病を治療するための医薬品が日本にはありません。企業が動物用医薬品の製造販売の承認を得るためには、長い年月と多額の費用を要し、ミツバチのような需要の見込めない動物薬では商売にならないからです。よく勘違いをされる方がありますが、動物用医薬品の承認は農林水産大臣ですが、あくまで申請があってのこと。申請のないものを農林水産大臣が認可するこなどありません。 では、養蜂家が動物用医薬品の代わりにメントールやギ酸、シュウ酸などを使うのは違法なのでしょうか? 日本国憲法は国が守るべきことを記した法律です。 そしては憲法29条では、 ・第一項 財産権は侵してはならない ・第二項 財産権の内容は、公共の福祉に適合するように法律で定める ・第三項(省略) つまり、国民には自分の財産を自由に支配する権利があり、その権利を国が侵すことを禁止しています。そして、国が国民の財産権に制限を加える場合には、法律で個々に定めることになっています。例えば、麻薬・向精神薬取締法ではケシの栽培、麻薬の製造、所持、譲渡などを禁止していますが、禁止の対象と禁止の理由が具体的に記されています。 従って、仮に日本ミツバチへのメントールやギ酸、シュウ酸などの使用を法律で禁止するのであれば、国は法律の中で禁止の理由や名称を具体的に示さなければなりません。 しかし、メントールやギ酸、シュウ酸について禁止した法律は一切見当たりません。即ち、メントールやギ酸、シュウ酸のミツバチへの使用は憲法第29条 第一項で認められた、何人も犯すことのできない権利です。ですから、自分のミツバチをこれらの薬品で治療することに何の気兼ねもいりません。